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半蔵の心得

第6回 未来のためにできること

 テレビ東京で放映していた経済ドラマ「ヘッドハンター」が、ついに最終回を迎えました。最終回のストーリーは、今世間を騒がせているあの話題をモデルにしています。さすがテレビ東京さん(拍手)! 素晴らしいノー忖度ドラマだと思います。プロデューサー・稲田秀樹さん・高丸雅隆さんと脚本家・林宏司さんの気概を感じました。

 このドラマで最初から一貫して問いかけていたのは、お金や地位、肩書よりも大切なものがあるのではないかということ。高額の給料で人を動かすというイメージのあるヘッドハンターですが、実は候補者の「働き方改革」、さらにいうなら「生き方改革」をしている様子が描かれていきました。

本当のプライドとは?

 最終回で主人公のヘッドハンター黒澤(江口洋介さん)のターゲットになったのは、交渉文書の書き換えを命じられたノンキャリア財務官僚の川瀬(山本耕史さん)。とかげのしっぽ切りにあった側からの視点で描かれています。

 ストーリーでは、黒澤の元上司だった藤堂(堀部圭亮さん)が国会議員になり、財務省の国有地を不当に払い下げしたのが事の発端になっています。それが発覚し、川瀬は上司に文書の改ざんを命じられました。

 黒澤は川瀬に転職を勧めます。最初は藤堂が口封じのために年収4000万円もする転職先を用意していましたが、川瀬はこれを拒否します。ノンキャリアの川瀬はキャリア官僚から見下されても、「街をつくる」という仕事に誇りを持っていたのです。最終的に、年収はダウンするけれども、夢をかなえられるシンクタンクを黒澤は紹介し、川瀬は転職を決意します。そして、不正改ざん前の書類の原本を公開しました。

 この回で印象的だったセリフがあります。それは「嘘つきに対する最大の罰は、人から信用されなくなることじゃない。人を信用できなくなること」というセリフです。

 黒澤をはじめ、多くの人が藤堂の毒牙にかかってきました。藤堂を葬り、川瀬を救うため、黒澤は転職先を用意して背中を押しました。

 さまざまな企業や組織で、不正や理不尽な目に遭っている人々が立ち上がれないのは、次の行先がないからでしょう。それを用意すればみんな自由に羽ばたけます。そういうチャンスを与えるのも、ヘッドハンターの仕事なのです。

 川瀬は事件によって信念や生き方を試され、それを逃げずに乗り越えたことで、人格も魂もより高くなったのだと思います。仕事や人生は魂の鍛練の場でもあります。黒澤もまた、紆余曲折を経てヘッドハンターになり、仕事を通して魂を鍛錬しているのでしょう。

教育こそ未来を変えられる

 私はヘッドハントの現場で、最近は「心技体」のうち、「技」に偏重する傾向があるのを感じていました。「技」も大事ですが、それは「心」が充実してこその話です。

 なかには、「経営職に興味があるから、ビジネススクールに通っている」と面談の時に語る候補者の方がいらっしゃいます。しかし、スクールではビジネスのノウハウしか学べません。人に対して深い関心を持ち、人と積極的に関わろうとしなければ、「心」は向上しません。「心」がなければ人を駒のように考え、平気で切り捨てる議員の藤堂のようになってしまいます。

 なぜ日本に藤堂のようなタイプが増えてしまったのでしょう。

 私は、ひとえに「教育」に問題があるのだと考えています。「何よりも成績優先」という教育が主流になり、他者への関心が失われていったからだと思います。

 その問題を解決するために、事業再生の会社の代表であり、沖縄大学の准教授でもある樋口耕太郎さんが開校する「命の学校」に私も参画することになりました。命の学校は、一言で言うと「人間中心に生きる社会」をつくるための取り組みです。具体的には介護、福祉、終末医療に携わる方々を中心に、「人の関心」に関心を持てるようになるために、全国から一流の講師を招いて沖縄で講義をすることになっています。

 同時に、福祉や医療に携わる方々の生き方を、効率・利益重視の世界に身を置く他業種の方に知っていただく、「相互に学ぶ」場にもしたいと考えております。

 そうやって、すべての人が互いに関心を持てるようになれば、日本を覆っている閉塞感も打破できるでしょう。そうやって大人が変わっていけば教育も変わり、政治や行政もいずれ変わっていくのだと信じています。

 

2018年6月7日

武元康明

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