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山海も心も開けた土地、広島県

広島県

私がこの仕事を始めたのは22年前。妻は臨月、やがて生まれる我が子への期待も募る、麗かな4月のことだった。

今でこそ、西へ東へ飛び回りながらも夜には自宅へ帰ることができているが、駆け出しの頃は勝手もわからないため、そう上手くはいかない。一度出張に出れば一週間帰宅できない、なんてザラである。刺激に満ちてはいるものの、肩の力が抜けない日々。生まれたての娘の顔もろくに見ることもできないまま、季節は巡る……そんな中、私を癒してくれたのは、広島県は尾道の夕焼けだった。

 

広島県は、とにかく海と山が近い。その間の僅かな土地に、住宅地も工場も港も密集している。

尾道はまさにその典型で、人と船とが、それぞれ山と海を背景にのどかに行き交う。先述のように、バタバタと仕事をこなしながら、心のゆとりをなくしかけていた私だった。しかし、眼前に広がる伸びやかで清々しい街並みに、すっかり癒されてしまった。

広島が清々しいのは、何も景色だけではない。人々も、その土地に相応しく清々しい。嫌なことは嫌、楽しむときはとことん楽しむ。慣れないうちは、自由気ままなその気質にたじろぐかもしれないが、しばらくすると彼らの付き合いやすさに気づく。思ったことを率直に言う人が多いので、変な勘繰りは必要なく、分かりやすいのだ。地中海式気候に近い気象であるからか、日本人より地中海の国々の人たちと近いものを感じる。社交的で陽気な、あっけらかんとした広島の人々との商談も、やはり当時の私にとっては気のおけない、楽しみなものであった。

 

あの頃からあっという間に時は経ち、もう2020年代である。元号も変わった。当時の私の髪は黒々としていたが、今や貫禄ありげなグレーヘアだ。尾道に足を運ぶことがなくなり久しいが、かの街並みも時と共に変わってしまったのだろうか。

しかし、夕焼けに艶々と照り輝く尾道の屋根瓦と水面は、未だ色褪せることなく思い出される。私を癒した黄昏時の光景。今の私は、確かにあの光景の延長線上に立っている…20年経った今でも、私が広島という土地に親しみを覚える所以かもしれない。

2020年2月3日

武元康明

半蔵が食べた広島県のうなぎ屋

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