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「東京」を探して

東京都

羽田空港には、不思議な空間がある。

極めて現代的だが、どこかレトロな雰囲気を感じ。

東京らしくもあり、地方らしくもある。

とんちやなぞなぞではなく、私が言っているのは自動販売機についてである。

この「ご当地自動販売機」は、羽田空港第二ターミナル出発フロアに存在する。他にもインスタントラーメンなど変わり種を扱う自動販売機が立ち並んでいるエリアで大変目立つため、目にしたことがある人も多いのではないだろうか。

 以前は「こういうご当地戦略もあるんだなぁ」程度にしか思っていなかったが、最近こうした紀行文を書いていることもあり、改めてじっくり眺めてみた。これがなるほど、なかなか面白い。秋田、山形、福島、富山、岡山、熊本、福岡…7つの県のご当地商品がそれぞれの自販機に並べられているのだが、調味料が入っている県があったり、お米が売ってあったりと、「その土地らしさ」というのが遺憾無く発揮されている。自動販売機という限られた販売スペース、そして販売形態で、これだけ個性を出しているのは見事なものだ、と専門家を気取ってひとりごちていた。

しかし、その時ふと思ったのだ。では、私が今立っているこの場所、羽田らしさ―すなわち「東京らしさ」は一体どこへ行ってしまったのだろうか、と。

 各地の空港には、到着してすぐにウェルカムボードが掲げられ、方言で「ようこそ」などと書いてあることが多い。エレベーターに乗っていると地元の商品の広告を次々と通り過ぎ、出発ロビーでもその土地のお土産が買えるようになっている。空港や新幹線の停車駅は、「その土地らしさ」をアピールする絶好の場であるからだろう。

 翻って、羽田空港はどうか。

洗練された空港内のデザインは都会的で、東京らしいといえば東京らしい。しかし、販売しているお土産の多くは有名ブランドのもので、地方でもデパートで購入できるものだ。それどころか最近は、地方のお土産を東京で買える、というのを売りにしている節がある。先述の自動販売機はそのいい例であろう。

 アメリカのことを「人種のるつぼ」と形容することもあるが、東京もそれに通じる面がある。「地方のるつぼ」とでも言おうか、日本各地さまざまな土地から人が集まった場所が東京だ。だから、ある意味「地方のお土産の集約地」というのは「東京らしい」のかもしれない。だが、東京に住まう者としてそれを些か寂しい。

「花のお江戸は伝え聞く」と声高に言ったかつての「江戸らしさ」は鮮明に描けても、今の我々が生きる「東京」を形容する言葉は案外見つからない。個性や魅力がないはずがない。だが、東京はそうした営みを怠ってきてしまったように思う。

今後はさらに、日本国内だけでなく世界中から人が集うことになるだろう。そうなれば、より一層「東京らしさ」の在処は不明瞭になっていくのでは…と危惧せずにはいられない。

 2020年、”TOKYO”は世界に大きな存在感を示せるか否かの勝負に出る。その際、”JAPAN”を背負ってアピールしていくのは当然だ。しかし、「日本らしさ」を超えたところにある、一都市としての「東京らしさ」を伝えてくれれば…と思う。様々な地方について愛着を持って文を書いてきたからこそ感じる、ホームタウン東京への期待なのだ。

2020217

武元康明

半蔵が食べた東京都のうなぎ屋

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