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あっぱれ、大分根性

大分県

福岡に住んでいた際は、大分県は湯布院に家族で旅行にいったことが何度かある。
大らかな山肌の鶴見岳をのぞみつつ、古民家と洋館が軒を連ねるような、和洋折衷の情緒溢れる街並みが続く。
ザ・観光地という活気とは程遠いが、だからこそ上品な風情を感じられるお気に入りのドライブスポットだった。
しかしそんな湯布院で「あっぱれ、商魂たくましい!」と手を打ちたくなるようなことを言われた記憶がある。
「空」の文字を見つけた駐車場に車を止めようとしたところ、店主が「うちの店にちゃんと来るのかい」と聞いてきたのだ。その圧に押されて「はい」と答えるやいなや、彼は打って変わってにっこりと笑みを見せた。
特に店の看板は出ていなかったはずだったが……随分とちゃっかりしている。

そしてこの気質は、あの店主に限ったことではない。大分県民の特性だと言われているようなのだ。
県民性を取り上げた本などでは、大分について「ケチ」「個人主義」などの言葉が並ぶ。どことなくマイナスのイメージを帯びている言葉たちだ。先に私が挙げた「商魂たくましい」というのも、もしかするとよくない印象を抱かれる方もいるかもしれない。

だが私は、「個人主義」すなわち「人は人、自分は自分」を貫く生き方は、素晴らしいものだと思う。
自分自身がそういう性分だからかもしれない。
今や転職が当たり前の時代になったが、私が働き始めたときは終身雇用が当然のルート。そんな時分に、航空業界でも会社を移動し、それでも飽き足らずに未知の人材業界へとダイブした。自分のやりたいこと、興味のあることに素直に従って生きてきた……という訳である。
別の言い方をすれば、周りに合わせるだとか、集団行動をするだとか、そういうのが向いていないタチ。
だが、そここそが私の強みでもあると信じている。
そして、欲求に素直になり自分を貫くことが、翻って人様の役に立つという証拠も、手前味噌だが積み上げてきたつもりでもいる。

大分の県民性とは異なり私は「ケチ」ではないが、この「ケチ」も貫けば立派な個性だ。
そのいい例が、臼杵市の大塚幸兵衛だろう。
彼は凄まじいケチさと商売根性で「赤猫」とけなされながらも、同時に個性を生かし経済の達人とも呼ばれた。
そして意外なことに、災害が地元を襲った時、彼は私財を地元のために投じたのである。利己的でケチな彼のイメージとは結びつかない行為だ。
だが私は、彼が地元を「身内」=「自分の一部」と考えたがゆえの行動だと思っている。
地元の危機は、我が身の危機。だから、私財を投げ打った。

やはり利己的なままなのだ。だが、誰かのためになったのも事実。
こういう一本筋が通った生き方は、側から見ていて実に気持ちがいい。
やはり口をつくのは「あっぱれ」の一言である。

2021年3月1日
武元康明

半蔵が食べた大分県のうなぎ屋

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